ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第2話「秘密の恋・前編」

街が夕暮れに包まれ、三日月がほんのりと現れ始めた午後7時。

まやは、自宅から少し離れた、ショッピングモールにいた。

『もう到着するよ、まや』

潤一からのLINEに心躍らせて、まやは非常階段を駆け上がった。

 

ショッピングモールの最上階の駐車場。

そこは、潤一とまやの出会いの場所でもある。

まやは、駐車場にポツンと停車していた、黒いワゴンカーの助手席の扉を開いて、乗り込んだ。

『お待たせ、まや…逢いたかったよ

『潤一…わたしも…』

潤一は、まやの右手に、自分の左手をそっと重ねて、アクセルを踏んだ。

 

***

 

あれは、今から半年前。

 

40歳、専業主婦だったまやは、結婚10年目ではあったが、遼とは男と女…夫婦生活を営んでいた。

 

まやは40歳と思わせない、ベビーフェイスと、透き通った肌、ほどよく肉感のあるカラダをしている。

遼はまやより、7歳年下の33歳。

子供がいない時間を見計らって、遼とまやはカラダを重ねていた。

遼は40代の色香を持つまやのカラダをとても愛している。

しかし、遼は性に対しては淡白であったため、ふたりが交わるのは、月1回。

それはあくまで遼がまやに対してムラムラとするペースであり、性愛に貪欲なまやには、遼の愛し方を、物足りなく感じていた。

まやは、いつしか性愛の欲求不満を、ショッピングや美容にお金をつぎ込むことで、気分を紛らしていたが、遼からもらうお小遣いが、毎月の返済分に全て消えていた。

「誰か、世界で一番わたしを深く愛してくれる、わたしのカラダを熱く燃やしてくれるような、男に出会いたい…」

そう心から願ったまやの指先は、スマホをタップし、「マッチングアプリ」をダウンロードしていた。

 

まやは、マッチングサイトで、目元を隠した顔写真を公開した。

そこに連絡してきた、10人ほどの男たちの中にいたのが、潤一だった。

 

潤一は広告代理店に勤める、45歳の、エネルギッシュで野心あふれる男。

大学で広告やマーケティングを学んでいたまやは、潤一の仕事の話に興味がわいた。

潤一は顔写真を送ってくれた。

少しきつい印象を感じさせる、鋭い目線。

「このひと、言葉は優しいけど、女の子と遊び慣れしてるのかな…」

 

まやに一目逢いたいと、熱烈にアプローチする潤一に対して、まやは警戒心を隠せなかった。

 

ある日、潤一の恋愛観に対して、まやはLINEで反論した。夜中から朝方までメッセージで話し合った。

まやは、喧嘩したことで、かえって潤一への好奇心が止められなくなっていた。

潤一がメッセージを送る。

『まやちゃん、1度会って話してみない?』

『…今日、午後1時に、リリーショッピングモールに来てくれるなら、お茶くらいしてもいいよ。』

『え?!会ってくれるんだ?!やった!行くよ!!』

 

その日の午後1時。

ショッピングモールの駐車場で、二人は出逢った…

潤一が走らせるクルマは、少し離れた郊外のカフェに到着。

潤一は写真よりも、少し太っていて、少年のような無邪気な笑顔をする男だった。

潤一とまやは、カフェのテーブルで向かいあって、お互いを見つめた。

「えー…あの写真と随分印象違うよね。ふふっ。」とまやは笑った。

「ん?変わらないでしょ?」

「随分丸く感じるよ」

「あー…あれはさ、夏に撮影してるからな…俺、すげー夏痩せするんだよね」

「そっか…もっと怖いひとだと思ってた」

「俺、優しいよ。まやちゃん。

まやちゃんは写真よりかわいい。」

「ありがと。」

ランチを食べながら、お互いの日常や、仕事や、子育ての話をした。

潤一は、屈託のない素直で、少し尖った発言が印象に残る。そして遼とは違う、大人の余裕も感じさせた。

 

「まやちゃん…店、混んできたから、場所移動しようか。」

「うん…」

潤一はまやの右手にそっと自分の右手を重ねて、そのまま席を立ち、まやの手をひいて店を出た。

 

まやはわかっていた。

潤一が、これからどこに向かおうとしているのかを…