ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第5話「転機の朝」

潤一は、ずっと押し黙ったまま、まやの自宅近くの空き地にクルマを停めた。

 

「まや……」

「なあに」

潤一がまやを引き寄せる。

 

「俺から絶対離れない、て言って。」

 

まやは、はっとした。

こんなに不安でいっぱいの潤一は、

付き合って初めて見たから。

 

「うん……わたし、潤一から、絶対離れない」

「……ありがとう」

潤一が、そっと身体を離した。

 

「まや、南の島に行く日、考えておいて。連れていくから。約束。」

「わかった……」

ぐっと唇をかむような笑顔をしたまやに潤一はなんともいえない愛おしさを感じ、思わず唇を重ねた。

 

「ん……」

「……ごめんな」

潤一は、まやの湿った唇をそっと指で触れ、頬を撫で、名残りを惜しみながら、手を離した。

 

「気を付けて……くれぐれも」

「潤一……ありがとう……行くね」

まやは涙がこぼれそうになるのを堪え、助手席のドアを開けて、外に出た。

 

「これでいい。

これでいいんだ。

 

わたしが、誰の顔色も見ずに、初めて自分のために決断したこと。

 

世界でたったひとりでも、わたしはわたしを応援する!」

まやは、呟きながら、月が照らす薄明るい夜の道を、振り向きもせずに歩き続けた……

 

***

 

翌日。

健と彩を、学校に送り出し、まやは後片付けもそこそこに、急いで、支度を初めた。

 

「風俗店の面接って……いったいどんな服装で行けばいいのかな」

担当者から、

「仕事着はスカートで、下着は上下揃ったきれいなものであれば、自由です」

と言われたものの…検討がつかない。

 

「とりあえず、熟女店だから、若作りすぎず、上品な普段着ならいいかな?」

まやは自分のワードローブから、花柄のシフォンブラウスと、膝丈の裾広がりのスカートを選び、普段よりややしっかりメイクで、家を出た。

 

まやは、駅まで歩きながら、これから体験することに、不安と、ワクワクを同時に感じていた。

 

風俗店のスタッフって、どんな人なんだろう?怖いかな?

働いてる女の人たちは、みんなどうして、デリヘルをやろうって考えたんだろ……わたしみたいにお金に困ってかな……?

そして……お客さんって、いったいどんな男性が来るんだろう??

すごい年上の人とか来るのかな…

しちゃダメなのわかってて、本番させろって言うのかな…?

 

まやは頭の中で妄想と心配をぐるぐるさせながら、どうにか電車に乗り、担当者にLINEメッセージを送った。

「いま電車に乗りました。10時40分に、柊駅に到着します」

担当者から、返信がすぐにきた。

「かしこまりました!お迎えに参ります」

まやは、ホッとした。

確かいくつかの店に問い合わせたときも、ここは返信が一番早くて嬉しかった。

他のお店は、年齢を書いたせいか、返信が来なかったから、「わたしを受け入れてくれるんだ」って、なんだかすごく安心したんだ……

 

不安は湧き上がって来るけど、きっと今から会うひとたちは、わたしを優しく受け入れてくれるだろう……。

 

柊駅に到着したまやは、急ぎ足で、改札口に向かった。