ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第7話「美々の誕生・後編」

「牧野さん。事務所の使い方を説明しますね」


デリへル嬢たちの待機場所は、パーテーションで区切られた、1畳ほどの半個室。テーブルとテレビ、イヤフォンがある。

ほかの女の子に気を使わなくていいから、人見知りなまやにはありがたかった。


そのあとは、スリーサイズも採寸して、お店のサイトで掲載される。


「太いから恥ずかしいなー」

と、美々は呟いた。


「そうですか?そんな太いかなあ…?

会員さんにも顔や容姿の好みがあるんで心配しなくて大丈夫。

ぽっちゃり好き、グラマー好き、美人系、可愛い系とかね。」

草部がにっこりとフォローしてくれた。


続いて、川崎店長が言った。


「あと、僕らは、電話で女の子を紹介するときに、あえて容姿などについては、悪く紹介します。


『うちの子可愛いでしょ~』って他の店はいいますけど、実際対面したときに『可愛いって聞いてたのに、そうでもない』って言われたら、女の子はテンションめちゃくちゃ下がる。そこから仕事するなんて、やりにくいし、気持ちがしんどくなる。


電話で『うちの子、ブスなんですよ~いいですか?』て話しておくとらお客様と対面したときに『ブスって聞いてたけど、可愛いやん!』と言ってもらえる確率が上がる。そしたら、女の子がテンションが上がるから、仕事がやりやすく、楽しくできる。


女の子が、快適に楽しく仕事できることを、一番大切に考えてるんですよ。」


美々は安心した。

他の女の子はスタイルいい人がたくさんいるから、こんな普通体型の身体でニーズがあるのかと不安だったからだ。


デリへル嬢の女の子がお店に勤務登録すると、お店のサイトに自分のページを作ってくれる。


自分のページには、顔を隠した全身写真、プロフィール、出勤予定と、写メ日記(メールで投稿できるブログ)、あとオプションメニューで、できるプレイメニューが掲載される。


プロフィールの文章は、店長が美々にインタビューして、男性受けがいいように、作ってくれる。


「男性はね、ファーストキスの時とか、初体験の話、初恋の話が結構好きなんですよ。

皆さん、サイトの隅から隅まで、毎日こまめにチェックしてますよ!


だから、写メ日記はすごく大事なんです。


難しく考えないで、日常で起きた出来事を好きなように、顔をかくした写真もつけて書いてみてくださいね。


コメントに返信や、会員さんからは、メッセージ交換もできますから、お返事してあげてください。」

 

「なるほど……わかりました。」

美々は自分のスマホでお店の写メ掲示板を見てみた。

ブログを見たら、女の子それぞれ個性がわかる。

話好き、セクシー、可愛らしい、上品マダムぽい……

色々なタイプの人がいるんだなと感心した。


続いて、美々は川崎に連れられて、少し離れた大きな公園で写真撮影する。


この業界では、写真撮影するときの決めポーズがあるらしい。


背筋伸ばして胸をはり、足を半歩出して、斜めに身体を向け、お尻を突き出し、両手を組む。

 

身体がかたい美々には、お尻を突き出すポーズをキープするのがかなりつらく、ふくらはぎが震えた。


「肩から背中、お尻にかけての曲線を出すのが大事なんです」

デジカメで撮影した画像を店長に見せてもらい、まやは、結構いい感じで撮影してもらえたことを、嬉しく感じた。

 

体験入店はしないで、次回から正式入店のため、川崎店長が、帰り道を送ってくれた。

 

「オーナーも、僕らも、女の子に楽しく、だけど目先のお金にくらまされないで欲しいなと思っています。


風俗ってね、新人さんや未経験ならお客がつく、て女の子は思いがちで、指名されなくなったからってすぐ辞めて、登録する店を次々に変える人もいる。

それでは結局最後は指名されなくなるんです。


本人が、「また指名をもらえる人」であるかどうか、が一番大事なんです。

そのための努力をしている子は、やはり長く在籍して、No.1になったりします。


だけど、いずれは、どんな女の子も、目標金額を達成したら、卒業するものだし、社長も僕らもそうであってほしいと考えてます。」

 

まやは決心した。


「わたしは『牧野美々』を演じるけど、自分の素は、変えない。


人とかかわるのが好き、相手のことや自分のことを知るのが好き。

わたしが楽しく、ありのままで素直に接したら、相手もきっと楽しいはず。


恋人の前でいるわたしと、同じ気持ちでやってみよう。」

 

駅前に着いて、店長に見送られ、まやは行く時とは違う軽やかな空気を、たしかに肌で感じていた。