ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第10話「初めての紳士様・前編」

美々は、ドアの前で深呼吸をした。


「この扉の向こう側にいる男性と、今から…部屋の中にいる間だけ、恋人になるっ!」

美々は、部屋の呼び鈴を鳴らした。


ピンポーン♪


しばらくして、扉が開いた。


「どうぞ」


扉を開けた「りゅう様」は、40代後半~50代くらいの、体格がよく、日に焼けた肌をもつ男性だった。


「し、失礼いたします……」


消え入りそうな小さな声で、挨拶してから部屋に入る。


りゅうは椅子に座っていた。


「はじめまして、牧野美々ですっ。

よろしくお願いします」


「はじめまして」


りゅうは『完熟の花園』のリピーターだった。


「わたし、今日初出勤で、

りゅうさんが初めてのお客様なのです。

きっと、至らない点があると思います。

色々教えてほしいです。

よろしくお願いします。」


 「うんうん、聞いてますよ。

こちらこそ、よろしくお願いします。」


会話を進めすぎて、恋人気分を台無しにしないために、美々はりゅうに名刺と電話代をわたし、インコール(店携帯に電話)した。


Prrr…

「はい牧野さん、お疲れ様です!」

「お疲れ様です、牧野です。

今、りゅうさんとお会いしました。」


「そしたら、今から120分で、新人キャンペーンなので、1万6千500円いただいてください」


「はい、新人キャンペーンなので、1万6千円いただきます」


「…ぷっ、はーい、よろしくお願いします。」


美々は、なんか間があったな…?と疑問に感じながら、りゅうに

「1万6千円、お願いします。」

と言った。


りゅうは、1万6千円、ちょうど出してくれた。

「ありがとうございます。」

美々は金額を確認した後、その場にしゃがんで、財布へお金をしまった。


「どうぞ、座ってくださいね」


りゅうが声をかけ、美々は、対面の席で向かい合って座った。


「失礼します」

美々は小刻みに震える手をぎゅっと握り、椅子に腰掛けた。


「なんだか、緊張しますね…」


「すみません、わたしが緊張してるから…」


「いやいや、僕も最初から緊張してますから」


「よかった…

お風呂、先に入れてきます」


美々は、浴槽にお湯を注ぎ、

ボディソープをシャワールームへ

うがい薬を洗面台、ローションをベッド脇にそっと置いた。


美々が準備をしているとき、りゅうはタバコをひたすら吸っている。


『りゅうさんも、かなり緊張してるのかも…?』

席に戻り、美々は恐る恐る、りゅうに問いかけた。


「りゅうさんは……今はどんなお仕事されてるんですか?」


「自由業ですね…自営というか、スノーボードの仕事です」


「すごー‼︎え?スノーボード関係?」


「一応、プロボーダーやってます」


「ええええ‼︎めちゃすご‼︎カッコいいー‼︎」


「いやいや…僕は、昔から好きで、続けてやっているだけで。

たまたま、僕はそれを仕事に選んでるだけですから。

みなさん、それぞれに自分の仕事があるでしょう。

僕はあなたとおなじなんです。

僕だけがすごいわけじゃないんです。」


演技でもなんでもなく、美々は素直に驚き、感動した。


りゅうは強面の風貌に似つかわしくなく、とても謙虚だった。


りゅうは現在、関東在住。

10歳の頃からスノーボードを始め、50代の今でも、1年の3分の1は大会に出場するため、海外や、雪山で過ごすらしい。

この当たりには、サーフィンをするために、1年に3~4回来るそうだ。


「すごいなあ……あ、りゅうさん。お風呂、一緒に入りませんか…?」


「そうですね。入りましょう」


りゅうが自分で服を脱ぎ始めたので、美々も自分の服を脱ぎ、ハンガーにかけた。


「りゅうさん、服かけますよ」


「ああ、ありがとう。僕の服はここでいいです」

りゅうはTシャツと短パンを畳み、椅子に載せた。


『いよいよ、りゅうと身体を重ねるんだ……』


自身の裸はさほど抵抗なく、半ば開き直って服を脱げたが、お風呂に入ると途端に恥ずかしくなった。


美々はりゅうの背後に廻り、シャワーで背中を流した。


りゅうの逞しい身体を、泡立てたボディーソープを手にとり、ゆっくりと洗いながら、美々はりゅうに話しかけた。

スノーボードへの想い、人生の師匠に出会えたこと……

美々は相槌をうちながら、背中、肩、胸板、お尻、足と順番に撫でるように洗っていく。

筋肉が、背中から羽根が生えてきそうなくらいたくましく、50代と思わせない。


「りゅうさんの背中、素敵ですね」


「ありがとう。丁寧に洗って貰えて気持ちいいよ」


「よかったー!ありがとうございます」


紳士的で優しいりゅうに、美々は心から安心した。


『りゅうさんが話してることが、全部真実じゃなくていい。

わたしは、目の前のこの人を信じて、カラダを委ねよう。

大丈夫。』


シャワーを流しながらりゅうと向かいあって立つ。

りゅうのペニスの泡をそっと手で包むように洗うと、熱を帯び、固くなった。


りゅうは、美々の顔に手を添えて、そっと頬に口付けた。

美々は顔から火が出そうになり、耳まで真っ赤になった。


「お風呂…入りますか?」

美々が尋ねると、

「いや…今はいい。ベッドに行こう」

と、りゅうが微笑んだ。