ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第13話「そのままでいい」

「牧野さん、お疲れ様です。

はじめまして。ドライバーの田中です。

よろしくお願いしますね。」


白のステーションワゴンの運転席には、

メガネをかけた、優しい雰囲気の男性が座っていた。


「は、はじめまして。牧野美々です。

よろしくお願いします」

美々はすこし驚きながら挨拶した。


風俗に関わる男性は、皆、物腰が柔らかい、優しい人もいるんだなあ……

ドラマで見るような、オラオラと態度が偉そうな人しかいないと、美々は勘違いしていた自分が恥ずかしくなった。


「初仕事、どうでした?疲れましたか?」


「は、はいっ。緊張しちゃって……

わたしすごくあがり症なので、ホテルの入口で転んでしまい、石原さんに肩を掴まれて、怪我せずにすみました」


「ははは、それは随分と緊張しておられたんですね。

最初ですから仕方ないですよ。

お仕事の方はどうでしたか?」


「はい……お仕事は、お客様がとても優しい方で良かったです。

わたし、何もわからないし、お客様におまかせして、できることだけをやらせていただきました。

あんな感じで、果たして良かったのか?

ちょっと心配です。」


「そうなんですねぇ。

お客様は最後なんと仰っていましたか?」


「また会いにきますね、とおっしゃっていました」


「よかったじゃないですか。

お客さんは満足されていたから、そう言ったんやと思いますよ。

楽しい時間を過ごせたのなら、それだけで大丈夫です。」


「そうでしょうか……」


「まだ1回目なんでね、不安かも知れませんが、お客さんは、牧野さんに会いに来るのは、テクニックとかが目的ではないですからね。

いつも通り。

彼氏と過ごすように、一緒にいるだけでいいですから。」


「わかりました。

ありがとうございます」


まやは、田中と話して、すこし安心した。

自分は素人で不慣れであることは、早く改善しなきゃ、って考えてたけど、今のままの自分「が」いい人もいるんだ、という視点を教えて貰えて、気持ちが楽になるのを感じていた。

 

事務所の、自分の待機場所に戻ったら、緊張が一気に抜けた。

 

まやは、座椅子に身体をもたれかけ、「ふーっ」と深呼吸した。

初めて会う男性にキスをされたり、裸を見られるのは恥ずかしいけど、苦痛じゃない。

肌の触れ合いって楽しい。

心の距離が近くなる気がするし、相手も自分ときっと繋がりたいと思ってる。

だから、これからたくさん失敗するかもしれないけど、今みたいに、この仕事を楽しいと思えてるなら大丈夫だ。

 

まやは、不思議な安心感に包まれ、そのままうたた寝をした。