ウサギのMimi〜アラフォー風俗嬢の恋日記〜

アラフォー風俗嬢Mimiの恋愛あり笑いありの日常を綴ります。

第14話「初老の紳士様・前編」

「……さん、牧野さん、お仕事入りましたよ」


待機ブースでうたた寝していた美々に、石原が話しかけた。


「……は、はい……

すみません!」


「疲れてたみたいですね。

15分後にご予約入りましたよ。

準備よろしくお願いします。」


「わかりました」


美々は慌てて、髪をブラシでとかし、化粧直しをした。


田中が運転する車で、さっき来た場所と同じホテルに到着した。


「牧野さん。203号室です。

よろしくお願いします」

田中から部屋番号を告げられる。


「行ってきます!」

美々は、今度はひとりで、お客様の待つ部屋へ向かう。


まず、ホテルフロントに電話をかける。

「完熟の花園です。203号室お願いします」

「どうぞ~」


このコールをしておかないと、ラブホテルの部屋は、フロントでロック管理されていて、内側からも解錠できないことが多い。


エレベーターで、2階に上がり、美々はドキドキしながら、部屋の呼び鈴を鳴らす。


ピンポーン

「はい、どうぞ」


ドアの向こうには、初老の男性がニコニコしながら立っていた。


美々は、

「お邪魔します」と小声で言いながら部屋に入った。


部屋のモニターには、AVの画面が映し出されている…。

それをチラッと横目に観ながら

「『完熟の花園』の、牧野美々です。

よろしくお願いします」

と、名刺と電話代を渡しながら、お辞儀をした。


「美々ちゃんか~。よろしくね。

今日が初めての日?」


「は、はい。

至らない点があると思いますが、

よろしくお願いします」


「ははは、よろしくね」

島岡は笑って、美々に椅子に座るように促した。


「しかし、よくこの仕事やろうって思ったねえ。なんで?」


「お金が…借金を返済したくて、はじめました」

 
「そうなんだ。旦那さんは?子供は?」


美々は一瞬ためらったが

「…はい、どちらもいます」

と、答えた。


「なんだ。旦那さんに借金返してもらえばいいのに」


「それが…だめだって断られて、なんでもいいから、仕事してきて、て言われたので。」


美々は誤魔化すこともできたが、隠す理由もないので、ストレートに答えた。


「へえぇ、返してくれたっていいのにねえ。

まさか奥さんが、裏でこんな仕事してるとは思わないだろうな~」

島岡は苦笑いした。


「はい」


「美々ちゃん、こちらにおいで…」


島岡に促され、美々は立ち上がって、島岡の前に歩み寄った。


島岡は美々の頬を触り

「こんなに可愛らしい顔の奥さんがいるなんて、旦那さんが羨ましいねえ」

と、笑う。


美々は俯きながら顔を赤らめ

「あ、ありがとうございます」と答えた。


島岡はギュッと美々を抱き寄せ

「キスしていいかい」

と、耳元でささやいた。